1、見守り契約
(1)定義
「見守り契約」とは任意後見が始まるまでの間に、支援する方が定期的に本人と電話連絡。
併せて、本人の自宅を訪問して面談することにより、支援する方が、本人の健康状態、生活状況等を確認することによって、任意後見をスタートさせるかどうか判断するための契約。
(2)態様
「月に一度面会をして状況確認をする」「面会を行わない月には、お電話にて健康状態や近況の確認を行う」等、決めておけば、本人に認知症の症状が出始めていることや健康状態の変化等にいち早く気づくことができます。
そこで異常が見つかれば、迅速に「財産管理契約」「任意後見契約」に持っていくことが可能となります。
2、財産管理契約
(1)定義
「財産管理契約」とは本人の判断能力のある間の財産管理に関して委任する契約。
任意後見人が実際に後見事務を開始できるのは、本人の判断能力が低下して任意後見監督人が選任されてから。
なので、契約締結後、実際に判断能力が低下するまでの期間は、空白期間となる。
そこで、任意後見契約と組み合わせて「財産管理契約」を締結することがある。
つまり、契約の締結後すぐに「財産管理契約」が発効。
その後本人の判断能力が低下して任意後見監督人が選任された時点で任意後見契約へと移行する形態。
このような契約形態を「移行型」といいます。
3、任意後見契約
(1)定義
「任意後見契約」とは、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、予め「任意後見人」を選任することを内容とする契約です。
(2)内容
任意後見人は、財産の管理や身上監護を代理します。
①財産の管理
将来本人の判断能力が低下しても、任意後見人が契約の締結等を代理することで、詐欺や悪徳商法等から本人の財産を守ることができる。
②身上監護
介護施設への入居契約、病院での入院手続き等も、任意後見人が代理することでスムーズに締結することが可能です。
4、死後事務委任契約
(1)定義
「死後事務委任契約」とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む) に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する代理権を付与して、死後事務を委任する契約です。
(2)依頼できる内容
- 葬儀、お墓の管理
- 行政への届け出
- 賃貸住宅の明け渡し
- 医療費、施設使用料の精算
等
(3)遺言との違い
遺言に記載することにより法的な拘束力を持つ事項は、相続分の指定等の相続に関する事項、遺言執行者の指定等の身分関係に関する事項など限られています。
なので、「樹木葬にしてほしい」といった希望を遺言の付言事項に記載しても法的な拘束力はありません。
そのような希望を確実に叶えるためには、「死後事務委任契約」を結ぶ必要があります。
5、尊厳死宣言公正証書
(1)定義
尊厳死宣言とは、現代医学では回復の見込みのない末期状態の患者に対し、人口呼吸や胃ろう等の生命維持治療を差し控え又は中止、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいいます。
末期状態になった際、意識が無い場合もありますので、事前に「尊厳死を望む」旨、公正証書にて宣言しておく必要がある。
(2)現状
日本では法制化されていないので、「尊厳死宣言書」を提出しても、医師がそれに従う義務はありませんが、本人が真摯な意思で、事前に作成した尊厳死宣言書を提出することで、その意思を尊重してもらえることが多くある、までの段階にはきています。
「尊厳死公正証書」を作成したら、万が一の場合に備え、信頼できる者に預けておきましょう。
6、「任意後見制度」を利用するまで
1、公正証書による「任意後見契約」の締結
(必要に応じて、見守り契約、任意代理契約、死後事務委任契約、遺言書の作成等を追加)
↓
2、見守り契約による見守り
(定期的な面会等による、ご本人との信頼関係の構築、健康状態等の確認)
↓
3.判断能力がしっかりしているけれど、体が不自由等になったら、財産管理契約
↓
4.ご本人の判断能力の衰えが見られたら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申立て
↓
5.任意後見開始
↓
6.ご本人が亡くなると、任意後見契約の終了。「死後事務委任契約」により、葬儀等の実施。行政手続き。
↓
7、遺言書に従って、相続人等への相続財産の分配。
遺言執行者に就任していれば猶の事、仕事がやり易くなる。
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